サーキットをぐるぐる回る
起きたくもない時間に起きて、食いたくもない朝飯を食い、最近覚えた首都高までの裏道に少々迷いながら、貴重なハイオク*1を焚いて、用賀から強烈な渋滞の中に自ら飛び込む。
重いクラッチをギコギコ鳴らし、うるさいエンジン音に耳を慣らし「まだ渋谷」とかつぶやき、箱崎でなかなか左に入れずアセる。
常磐道に近くなれば調子に乗って飛ばし始め、なかなか退かない3台ぐらいに追いつき、ムリヤリ左から抜いて反社会的な行動をとる。
ガタガタ一般道で跳ねながらサーキット近くのセブンイレブンで停まり、2年の禁煙期間を経て復活してしまったたばこを虚無感に襲われながら、焼きそばパン、ポカリスエット、たらこおにぎりをどうせ残すだろうな、と思いながら、ヤングマガジンを見てるヒマがないのに、と気づきながらお金を払う。
時計を見る。
筑波に到着しピットを確保したいが既に一杯、オロオロしながら隙間を縫って駐車し陣地が取れない悲しみに暮れている間もなく荷物を降ろし、シートベルトをセットし計測器を取り付け、タイヤの空気を抜き、お金とはんこを握りしめ走行券を買いに行くと、"一人でサーキットにやってきた寂しい人"の証しに緑色の腕章をもらう。
靴を履き替え、お弁当と雑誌を座席の後部に押し込みサベルトで体を縛り付け、バイク用のメットをかぶり燃えないグローブ*2に手を突っ込みエンジンを再始動し、変に譲り合いながらピットロードに並ぶ。
へんてこなチャイムが鳴り、走行が始まる。
色々なことを考え、色々な操作をしながらぐるぐる回る。 右回りに回る。
汗をかき、時にメットの中でワメき、焦り、幸福感を味わい、後悔し、緊張ながら30分間ひたすら回る。
チェッカーや黄旗の合図で一気に脱力し、我に返って陣地らしき場所に戻って生暖かいポカリを飲み、食いたくないも無いおにぎりを食って時間をつぶし、30分後に再度変に譲り合いながらコースに戻る。
抜いた空気 を入れ忘れ、帰れないほど空になったタンクにスタンドに1万円以上払ってハイオクを入れ、自動集金システムで高速代も払った上に渋滞にはまりながら帰還し、近所のガキを追っ払い駐車してエンジンを止める。
今日はサーキットを走ってきた。